本の場:●本の場● 山崎曜 YAMAZAKI YO 手工製本家 メディアとして主役を降りて久しい「本」を、今までとは別の、美や造形として輝かせて、新たな「もの」として存在させたい。

こんな裏打ちも

 

溝のことをちょっと書いてそれが中身と表紙の合体の件になって話が難しくなってしまった。というかもっと整然と整理できるんだろう。で、前の日記を確認していたらykomさんからの書き込みをよくチェックしてなかったのに気付き、資料保存器材のホームページを覗いてみた。マジックテープをローラーにつけてそれに糊を写し取って塗るんだって・・・すごい。

保存の人達もいろんな方法を考えているな〜。なんだか嬉しくなる。(私もいろいろ考えているよ、セメダインスーパーXを手を汚さずにヘラで紙に塗って貼る方法とか・・・・)

 

2007年2月28日 本の場 | | コメント(0)

表紙と中身

 

 内容を印刷して綴じる。すると本の中身ができる。それで「伝える(読む、読ませる)」という機能はとりあえず成り立つ。そして表紙を付けることで「保存する」「輸送する」「何が入ってるか分かる」などの機能を付加する。 

ゆえにこの二つを接合するということが「製本」ということの重要ポイントであるのは間違いない。ゆえに実にさまざまな工夫がなされてきたと思う。 
洋本の歴史の中で「溝」の発明は多分エポックメイキングな出来事なのではないかと思う。それまで綴じ付けという方法で表紙のボードを本文の綴じと同じ紐にくっつけていた。(すでに合体が終わっているところに革や布を貼るのはとても面倒な作業) 
「溝」のある本はフランスの製本では「ブラデル」と呼ばれているようだ。(あってる?自信なし。)製本屋の名前だそうだ。ブラデルの考えたことが「溝」をもうけることによって開きをよくすることだったのか、ここで問題にしているように、表紙と中身を合体することを容易にすることだったのか、私はよくわからない。だれか知っている方、教えてください。 
写真は順に、 
 
 
20070227.jpg
 1,表紙貼り。全面に糊を塗った布などの上にボール紙を並べてはるだけでよい。 
 

20070227_2.jpg

 2,そしてちょっとわかりにくいけどあけておいた溝の裏にボンドをつけたとこ。

 

 

20070227_3.jpg

3、そしてそこを使って合体し終わったところ。真ん中にあるのは重しです。これで表紙と中身の位置関係が動かなくなるので、見返しを表紙の裏に貼れば完成。 (ボール紙の真ん中に貼ってある白いもの(両面テープなんですが)はここでは無視してください。)

 

 

2007年2月27日 本の場 | | コメント(0)

なぜ、溝はあるのか(哲学的疑問?)

 

外見上、溝は、表紙を開きやすくするためでしょう、と極自然に納得できる形をしている。だけどよく考えると溝がなくたって開かせることなんてできる。そもそも革の工芸製本には溝がないです。これ、人に説明するときにまず言うところです。伝統工法で作った本はこれこれこのように溝が無くてもよく開きます、そしてこの微妙な凸部が本がとじ付けられている麻紐で、もとはこれが背に露出していて、バンドやネールと呼ばれてました・・・・などなど。 

話は脇にそれました。溝なくたって、本は開くじゃん、じゃあ作ってみよう!と試したのが写真左。頼まれた仕事が角背のハードカバーで、ということだったので「おっ!ちょうどいいから日頃の疑問を試そう!」と思いやってみました。(下の2冊が溝なしです。溝ありのもいろいろバリエーションでやってます。)
20070226_1.jpg
 
で、結論。試作するたびに思うんですが、普通の作りって本当によく出来てるんですよ〜。効率的で作りやすいんです。(手が慣れている人にとってはってことですが。本って、機械化以前にも基本的に量産品で、職人が作っていたわけで、そういう人達が作りやすい作りになってたってことです。) 
溝があることで中身と表紙の合体(「くるみ」って言います)がものすごく楽だし、そもそも表紙を作る事自体が楽。(しかし、この部分が慣れてない初心者にはとても難しくて・・・・作ってもらう時にものすごくジレンマなところです。なんとか楽な方法はないものかと模索中。その1つがこの間のNUNO WORKSでの文庫本の改装。) 
写真はばりばり伝統工法の革の本の開きのようす。
20070226_2.jpg
 
まだまだ続く溝。 
 
 
 

2007年2月26日 本の場 | | コメント(0)

溝、は深い!

本の表紙の溝ってなんであるんだろう。表紙が開くためには当然必要でしょ、って思っていたんだけど。

070225_1.jpg狭い方がかっこいい、という説もなんとなく耳にしていたし、ともかくいろんな寸法で作ってみよう、ということでやったのが写真。ついでに中身の背を表紙の背に貼ってしまうのか(タイトバック)貼らないのか(ホローバック)なんていうこともためした。その時の自分の判断基準は「かっこよさ」をとるのか「使いやすさ(=開きやすさ、とその時は考えていた)」をとるのか、という単純なもの。「正義か悪か」なんてちょっと危険思想だけど、まだ若かったから・・・・写真一番上は溝板を使って溝を入れたもの。次はアイロンを使って、多分溝あき8ミリか、上から3つ目はアイロンで溝あき9ミリかな。一番したは溝あき6かそんくらいかな。 070225_2.jpg

もう一つの写真は溝空き10ミリとったけど、ここまでしか開かないぞ〜という例(ホローバック)。某専門学校で絵本を作らせていたんだけど、見開きで絵を描いてそれを二つ折りにしてのどと小口をのり付けしていくという方法。これだと写真のような背部分の開きかたになって、本が厚くなるとどんどん溝空きを増やさなければ開かなくなっちゃう。 

まだまだ続く、溝の話。

 

2007年2月25日 本の場 | | コメント(0)

溝あき、この悩ましきもの

 

 

実は、製本教室をはじめた12年前、私はばりばりの綴じ付け表紙(いわゆるルリユール、です)のやり方しか(ほぼ)知りませんでした。2年間は師匠宅で布装(中身は枠を印刷した、いわばノート)のそれを教えていました。でも、これってどう使うの?ということが気になります。技術をおぼえたのはいいけど、使いどころがないものをどうして教え続けることができるのか?わからないまま教室を実家に移したのが10年前。何を教えたらいいのかわからないので、「生徒さんが教えて欲しいものを教えられる」教室をやればいいんだ!と開きなおりました。そのためには様々なやりかたを知らねばなりません。ところが簡単だろうとたかを括っていたハードカバーの角背すらろくに理解できていない自分に気付いたのです。仕方がないのでいちいち試作を作っていくことにしました。いろいろな教科書を見てその寸法で作ってみました。たとえば角背の場合の表紙は、2ミリくらいの厚さのボール紙を使った場合、天地方向は中身にサイズにちり(3ミリ)2つ分の6ミリを加えます。問題は左右の寸法で、溝あき9ミリの場合、中身の左右引く2ミリ。写真左が貼り終わった角背の表紙で背の両側にあるところが「溝あき」です。右はひっくりかえして表からみたとこ。

070223_1.jpg070223_2.jpg

 

 

 

2007年2月23日 本の場 | | コメント(0)

ハードカバーの背

 

 

ハードカバー(上製本)には丸背と角背があって、それにはタイトバック、フレキシブルバック、ホローバックがある。なーんて書いたら専門的ですね。が、そもそもなんで本に背ってあるんだろう?和本には背が(というより背表紙が)ないよね。 

それは多分、タイトルを入れるためですね。本棚に並べたときに何の本かわかるように。そしてそのためのものすごい(と私は思う)格闘の結果が上記三つの背のタイプ。背表紙をつけんがためにたいへんなことになってしまった。というのも中身を開いて読むっていうことと、背がついてるってことが実はすごく矛盾なんだよな〜。そんなこと普通はあまり考えないと思うけれど、手作りで様々なタイプの本をずっと作っていると「ああ、背表紙がなかったら、どんなに楽だろう!」と思ってしまう。 

工程の途中、糸とじをしただけの本は、当たり前だけどとてもよく開きます。うちの教室の生徒さんも「やっぱり糸とじは良く開きますね」なんてその段階では言ったりするんですが、内心「ああ、そのあとがちがちに固めて背をつけたり・・どんどん開かなくなっていってしまうのです!」と後ろめたい気分になります。 

ちょっとわかりにくい文ですみません。背表紙と溝についてはもうすこし続けて書いてみたいです。 

 

 

2007年2月22日 本の場 | | コメント(0)

洋本の硬さと和本の柔らかさ

 

 

ハードカバーってありますよね。これはなんとなくしっかりした感じがあって持ちごたえがする、なんか嬉しい感じがします。前に小学生の本作りのワークショップをしたことがあってそのとき、2ミリのチップボールをむき出しのまま折帖(牛乳パックの上下を切り離してつないでつくったじゃばら状の本)の表紙にしたら、みんなすごく喜んでいた。引率の先生が子供ってなにかこういうしっかりしたもの好きです、というようなことをおっしゃっていて共感したのを思い出す。(どんぐり、カブトムシ、石などなど・・・硬いかたまり・・)で、洋本の硬い表紙って何かそれ類するところを刺激してくるものがある。(革装の高級な小型の工芸製本なんて板金をうちだして作った車のようにかっこよかった〜) 

でもひるがえって、かたい表紙の用途は?ってことになると本棚に立てておいといても中の紙がぐんにゃりならないように保存できる、ってことに尽きると思う。一方、四つ目綴じなどの柔らかい「和本」は平置きにするか、帙っていう硬いボール紙で作った物の中に包んで保存する。 

で私が思うのは洋本は保護するボードが一体化したものだが、袋とじなどの和本は保護するものは別にあるものだ、ということ。だから同じ本でも保存機能一体化のものと分かれている状態のもの、ということで同じ土俵で比較してはいけないのでは、と思います。 

ちなみに私が師匠(洋本の技術者)に聞いたはなしではヨーロッパでは昔はあまり本を箱にはいれなかったよ。とのこと。箱に入れたがるのは日本人の特性か、と思ったが、本が柔らかいから箱にいれたくなったんじゃないのって今思った。

 

2007年2月21日 本の場 | | コメント(0)

本の柔らかさ

 

 

070220_1.jpg070220_2.jpg

NUNO WORKSでやったもう一つの種類は「ハンドステッチで製本」。市販の中とじのノートに布の表紙を付けるだけなんだけど、文庫をハードカバー化や封筒を製本にくらべてすごく悩まされた。(表紙と内側の布の寸法関係をどうするか、またそれをどのように作ってもらうようにするかという点。なんだかわからないけどね、こう書いても。) 

数年前に作った「どんぐりと山ねこ」(ぶなやかた刊135部「手で作る本」にも掲載。)いらい、表紙を巻き込んだところだけで糊付けするのはマイブーム。そのときは紙で裏打ちをした布だったけど、今回は接着芯つきの布。表紙の前小口側だけ貼る、とか、内側の布の折り返しのやり方など随所に四つ目とじをはじめとする和本(ただしくはふくろとじ、線装、ですか)の作業方法を使ってみました。見に来てくれたみなさんも「和本を布装で作ったらすごく感じがよかった」とかそういう話を聞いてとても共感しました。自分ですっと作れるところもいいですし。畳にねっころがってそういう本を見るとか、あこがれるリラックス形態。 

柔らかさ、は自分にとってますますテーマだな〜と思います。

 

2007年2月20日 本の場 | | コメント(0)

裏打ちなしのデメリット

 

 

このあいだの文庫本のハードカバー化のデメリット。それは手芸用の接着芯の接着の耐久性。布に紙の裏打ちをしないで接着芯をアイロンで貼っているところが問題(接着芯は「縫う」ことを前提としたものだと思うし、手芸で作るものって本にくらべて遙かに消耗品だと思うから。)。特に溝のところで、どの程度木工用ボンドが浸透してるかな、という辺りが気になる。(かといってあんまり浸透させたら表に抜けてきたないし。) 

まあ溝の所の生地が浮いてきたらステッチして押さえて、というようなことでいいと思ってるんですが。(そのためにはのどぎれが貼ってあるか、の背から見返し裏にまたがるのが寒冷紗じゃなくてキャラコぐらいしっかりしたものの方がいいかな。) 

まあ、いいたいのは1冊つくるのに、プロがたくさん作る方法をまねる必要はないんじゃないか、ということです。(ああ、というよりも本当は、「こうやりなさい」、って言われたら単に「そうはしたくない」っていう自分の性格の問題です。どうしても反抗心がむらむらと・・・・まあ、その感情を使ってエネルギーにしてるんで・・) 

 

2007年2月18日 本の場 | | コメント(0)

木工用ボンドのみヘラのみの製本

 

070217_1.jpg070217_3.jpg070217_2.jpgNUNO WORKSでのワークショップで文庫のハードカバー化は1回しかしなかったが、お客様と話すと文庫が一番人気な雰囲気だった。(キットもよく売れていた。)文庫のハードカバー化は随分前からいろいろなワークショップでやっていてそのたびにいろいろ改良はしたのだが、前の日記に書いたとおり、今回はボンド、ヘラでほんの一部を接着する、という自分としては画期的アイデア。その結果、「刷毛」という難関を避けることができた。 

それ以外にどういうメリットがあるか。それはくるみ、見返しのり入れ。 

表紙に全面のりをつけたら必ずそりがでてその結果作業はむずかしくなる。今回のようにへりわずかにボンド、ということだと、このやっかいな「そり」はまったくなし。へらだけで溝を入れることも可能だし、乾かす必要もなくすぐに持って帰ってぜんぜん問題なし。どうですか、画期的でしょう。(受講された方もこれなら家でもちょっとやってみようかな〜という反応だったです。)明日はこの方法のデメリットについて書いてみたいです。(ああ、それからもう一つのメリットは「布のやわらかみ」を生かすこと。あれ、これは前に書いたっけ・・・)

上の写真でも部分的にボンド塗ってるのがわかると思います。写真はワークショップ以前の試作で真ん中の大きい白いのは両面テープ。このときはボンドと併用して両面も使いました。

2007年2月17日 本の場 | | コメント(0)

製本について

 

今週初めにNUNO WORKS での展示とワークショップが終わった。たくさんの人に体験してもらったり見ていただいたりして、ありがとうございます。すごく考えさせられることの多い場だった。ワークショップの募集ではミクシィにトピックをたてさせてもらったらあっという間に席が埋まってしまい、あらためてここには製本に興味の有る方がたくさん集まってるんだと実感した。そして製本についていろいろ考えていることをこの場で書いていったら面白いかも、と思いついた。 

まずは今回のワークショップ3種に共通する「木工用ボンド」を原液のまま、刷毛は使わないでヘラで塗る、というやりかたについてちょぼちょぼと書きます。はじめは「今回はちょっと方法を変えてみた」、程度に思っていたのだが、今は自分の中でなにかが「カチッ」と割れたのか壊れたのかわかんないけど、そんな感じがしている。 

ここからはじめて製本全体を理解しなおしてみたい、な〜んて大げさなことも思ってまーす。(たぶんわけわかんないこといっぱい書くと思うけどどうぞよろしく。)校正や編集のはいらないこういう場でどういうおもしろさが可能なのかも試したいです。 

 

2007年2月17日 本の場 | | コメント(0)