時間がかかる
今日も一日、教室。「糊」の使い方が難しい、ってまた私はしゃべる。
今の人って「でんぷん糊」は使わないもの。ヤマト糊とかフエキ糊はいまだにちゃんと売ってるけど、どのくらい売れているのだろうか。
使ったことがなければ、それについての常識がわかってもらえなくなる。
「こういうもんでしょ」って私が思ってる常識が言葉を尽くしたってわかってもらえない。(それも熱心に来てくれてる熱意あふれる生徒さんに)1つ1つ経験して、さらに理屈での理解が入ってはじめて、「腑に落ちた」感じになるんだろう。(カッターの使い方の方が、理屈を説明するとわかってもらえる)
「糊がつく感じ」、というのがかなりの難物なんだ。
1、でんぷん糊で紙を湿らせてやわらかくして貼る。
2、木工ボンドの粘着力と乾きの速さを利用して貼る。
3、それらを混合して、中間的な貼り方をする。
など。
でも端から見てて、「こんな感じで貼ろう!」って意図を持って貼ってる人が、うちの教室でも意外に多くない。
ナイフや包丁を使えない小学生、とか、炭火をおこすときに新聞紙を炭の上に載せて火をつけちゃう若者とか。
でもやったことないんだから、常識は持ちようがないのだな。
自分も、同世代と比べれば、特に手を動かしていた小学生ではなかった。意外に思われるかもしれないけど。小学生の時にやった細かい手作業といえば、昆虫採集で蛾の展翅をすることか。蛾を集めていたんだよね。
製本の弟子入りしたのが28才の時で、師匠から1年間以上「10才児」と呼ばれていたのは、多分そういうことだったんだろう。「君はもうその年だから体で作業をおぼえることはできない。だからなんでも理屈で考えなさい。」と、はじめに言われた。昔の徒弟は小学校卒業では遅い、みたいなことなんだから。
他に、師匠に言われたので印象に残ってるのは「もし、間違った作業をしていても、理由を言ったら、許してやる。たとえ屁理屈でも」みたいなこと。作業を進めていくとき、こうする判断をした根拠を言え、ということ。
常に「なぜ?」ということを考える習慣は身に付いた。
でも、それが身に付いたはずの5年後くらいに教室をはじめたんだけど、なぜこの作業をするのか、かなり説明できない、ってことに気づいて愕然としたな〜。
なんかをわかるには時間がかかるよ。ほんと。
「読んで理解する」にはそんなに時間がかからないと思うけど
「腑に落ちる」には時間がかかる。
コメント(4)
ykom :
私の最優秀?の生徒の感想にもありました
「糊の選択にはいつも迷いました」
と
そうか、糊を使う機会すらない
そういう事か
手紙も出さない 封筒に封もしない
小学校の図工の時間も圧迫されている
せめて図工用紙を使っても
セメダインのようなもので貼るだけか
一所懸命
本って雨に濡れたりしたらダメになるでしょ
でも製本って糊をつけて乾かすという事の繰り返しでもあるんだ
だからそのダメージを最小限にするため、いろいろ工夫するんだよ
とか
デンプン糊って熱と圧力で付くんだよ
と言ったりしてきたのだけどね
山崎 :
「手作り」という面では自分もろくな小学生じゃなかったからな。封筒には粘着剤がついてるしな。
でも、10年くらい前に掛け軸の作り方を習ったりして、
それとともに、留学してきた人たちの「反り」に対する気にし無さを見て、
やっぱりこの湿度ある国にそだった「糊使い」の技術はすごいと思う。
あと、でんぷん糊は熱と圧で付く、っていうのはぴんと来ないです。
私だったらなんていうかな。
やっぱり一言では言えないけど、
でも、熱と圧力は関係ない、と思う。
紙にでんぷん糊を充分時間をかけて塗ると紙が湿気で柔らかくなる。さらに少し放置して待つと、塗った糊の表面が微妙にかわいて、ツヤがなくなる。その状態で、貼る相手の紙などの上に置くと、位置合わせに少しずらすこともできるし、すんなりと、貼られてもくれる、というベストなじょうたい。
ああ、この辺、言っても、わかってもらえませんが。
ykom :
あ、熱か 圧力で 早くあるいは強力につく
(熱&圧力 ではないです)
の書き間違い すみません
イチョウごてでミゾをつけていたのは
両方 併用?
最後に書いておられることは
表装なんかで使う 古糊?の状態みたいです
こっちも経験はないが
山崎 :
ykomさま
書き込みありがとうございます。
そういえば、イチョウは両方ですね。掛け軸の縁を折り曲げて貼るときもアイロン併用でした。
去年夏は、茨城大で紙の目実験を(正方形の1ミリ厚のチップボールの表と裏に紙を貼って貰って、その紙目の組み合わせによって「反り」がどうなるかを診て貰った)やりました。
糊はり実験も今度機会があったら、やってみようと思いました。
条件の設定が少し工夫が必要そうだけど。
結局は、つく、つかない、を、ある程度、経験してもらうしか、ないのでしょうから。
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